GLOBAL

SCHADE NEWS 1//2021 - Products. Projects. Progress

SCHADE LAGERTECHNIK

ストックパイルのバルク物資の流動性を改善するSCHADE
アクティブハロー

Andreas Junker (Technical Director) SCHADE Lagertechnik GmbH, Gelsenkirchen/Germany

ブリッジ型リクレイマー ©SCHADE

アクティブハローは、新規案件及び機器改修の双方の分野で、SCHADE Lagertechnik 社の製品レンジの一部として長年存在しております。この製品は本産業分野でのSCHADE 社の成功の実現に大きく貢献しております。特に粘性があり流動性の低いバルク物資を対象とした独自の設計方法により、極めて取り扱いが難しい物資のハンドリングを実現し、スタッカーリクレイマー製作での国際的なエキスパートとしてのSCHADE社の名声を確実にしました。

近年では鉱脈がより集中的に採掘される傾向があり、採掘される物資が均一でなく流動性という観点からは異なった特性となる場合が増えております。特にセメント工場での石灰石のストックパイルではこの傾向が顕著であり、物資内の高い水分量が5mm 程度の微細で大量の物資粒と組み合い、物資の流動性を低下させるものとなります。結果的に物資はパイルから簡単に分離せず、吐出コンベアへ搬送するリクレイマーのショベル部の回収エリアへ容易に落下しないものとなります。

アクティブハロー – 必要なリクレイミング能力の実現

多くの場合、契約上保証の対象となる数値は水分量、粒の大きさ及び粒度分布といった物資特性を内容とします。サプライヤーは後の段階で物資特性が契約上の仕様にもはや対応していない事を主張する事は無く、従来的なハローの設計では用途上適切なものとなりません。

本来の契約上のリクレイミング能力を実現するには、ストックパイルから物資が薄い層状に分離されリクレイマーのショベル部へ落下する事が必要であり、バルク物資が自由に流動する事が前提条件となります。物資が自由に流動しない場合、SCHADE アクティブハローが層状に分離するように物資を誘導する事ができ ます。アクティブハローの原理は、従来的なハローに小型のスクレイパーを装着させ、バルク物資をショベル部に連続的に落下させるものです。

ブリッジ型リクレイマーの用途

ストックパイルの側部からバルク物資を回収するポータル型リクレイマーと異なり、ブリッジ型リクレイマーでは、自動走行又は円形貯蔵型の機器に関わらず、バルク物資に十分な流動性が無い事又はパイルから容易に分離しないといった問題にしばしば直面します。ストックパイルに平行して走行しながら装備するショベルで直接バルク物資を分離させるカンチレバー型リクレイマーと異なり、ブリッジ型リクレイマーはパイルの断面部から物資を回収するように設置されます。ブリッジ型リクレイマーは前面部から徐々に回収を始め、断面全体の高さ及び幅にわたって均一に回収するものとなります。これはその生産工程から物資のブレンディングが必要となるセメント産業で重要な点となります。ブリッジ型リクレイマーのリクレイミング方法は、ストックパイルの断面全体に分布するあらゆる大きさの粒を生産プロセスに投入させる事を実現できるものです。

パイルの幅及びハローの挿入深さにバルク物資の比重を掛け合わせた量により、機器のリクレイミング能力が算定されます。バルク物資に自由流動性がある限り、ショベルへの十分な充填が維持され、従い必要なリクレイミング能力が達成されます。しかし水分量又は微細な物資粒が原因で流合性が阻害される場合、ハローの突起部により分離されるはずの物資がパイル上に留まりため、バルク物資を攪拌させる事が重要となります。ブリッジ型リクレイマーではアクティブハローがこの機能を分担します。

アクティブハローの構造

アクティブハローは、従来のハローにいくつかの小型の統合型スクレイパーを装備するものです。アクティブハローの基本的な機能は以下の内容に要約できます:まずストックパイルの固結した物資をハローの突起部で分離させます。物資フローから分離が十分でない場合、リクレイミング部のショベルへの誘導をハローに装備された小型のスクレイパーが援助します。

ハローの拡大写真 ©SCHADE

従来型ハロー ©SCHADE

SCHADEアクティブハローの機能 ©SCHADE

二層構造のSCHADEアクティブハロー ©SCHADE

SCHADE アクティブハローは常に二層構造となります。ストックパイルに近い下層部には固定された突起部があり、耐荷重ベアリング又はスクレイパー用チェーンガイドを装備しません。上層部は荷重ベアリング構造となり、ハローシステムの全ての荷重を支持します。スクレイパーはこれら二層の間に設置され、アクティブハローの高さを決定する要因となります。

バルク物資の特性の変化

30 年又はそれ以上に及ぶ設備の使用期間内に、バルク物資の特性が本来設計の基礎となった内容から乖離する事はしばしば起こります。異なった条件で設計されているため、設備がその能力を発揮する事ができなくなる事になります。設備を新たな条件に適合させる事は、オペレーターにとっては費用の拠出が必要となります。SCHADE はこの様な状態にある顧客に、最適なソリューションを模索するための助言を御提供する事で支援する事ができるでしょう。

従来的なハローのSCHADE アクティブハローへの改修

従来のハローをアクティブハローへ改修する事は可能ですが、サポート構造部を大幅に変更する事が必要となります。これにも関わらず、特にブリッジ型リクレイマーを装備する円形貯蔵ではハローは設備の一部分のみであり、改修は実行性のある選択肢となります。

改修は設備全体を調達する場合より費用が掛からず、完成までに時間もかかりません。ブリッジ型リクレイマーが独立している場合、設備を導入する事がより費用効果の高い選択肢となります。アクティブハローは小型の多くのスクレイパー及びそのサポート構造のために重量が重く、機器全体への荷重が増加するからです。既設のハローはこの荷重を通常は支持できず、新たに計算及び設計される事が必要となります。またフラットな鉄を使用したテンションロッド又はウィンチからのロープにより構成されるハローの装着部は大きな荷重を受ける事となり、適切に計算される事が必要となります。

ハローのウィンチ及びロープによる吊り上げ ©SCHADE

ハローがブリッジのはり部の片側に装着される場合、はり部のねじれを最小化させるためにカウンターウエイトを増やす事が必要となり、従い追加のサポート荷重が必要となります。ハローがブリッジはり部の両側に装備されるのであれば、ハローの重心部が等距離となるため、これは必要となりません。しかしいずれの場合でも、ハローの実際の位置をカウンターウエイト又は反対側のハローの重量でオフセットできないため、ハローの傾斜によりねじれ荷重が発生する事となります。

カウンターウェイトを使用したねじれの補正 ©SCHADE

ハロー及びカウンターウエイトの修正重量が決定された後、ブリッジの寸法が適切か評価するため、ブリッジ構造部を静力学及び設計上の観点から検討される事になります。一般的にブリッジは大きな鉄の箱又はフレームの組み合わせによる構造です。多くの場合バルクヘッドプレート又は補強用の支柱のブリッジ本体への追加といった支持エレメントの補強によるブリッジ強度の強化及び接続部の修正といった内容で十分となります。

補強構造 ©SCHADE

従来型のブリッジ型リクレイマーを改修するには、設備の重量増加による車輪の許容荷重条件が十分か決定するため、トロリー及びドライブもまた検討する事が必要となります。レールを入れ替える事はできないため、しばしば車輪の数が増やされ、設計作業の追加が必要となります。円形貯蔵の場合も同様といえるでしょう。

円形貯蔵:ブリッジ型リクレイマーのブギー及びヘッドビーム ©SCHADE

円形貯蔵システムの一部として稼働しているブリッジ型リクレイマーを改修する場合、本来の荷重条件からの増加要素がブリッジ部及び旋回支柱部を接続する旋回リングへの負担となり、交換する事が必要となるでしょう。旋回支柱部の基礎のアンカー部の確認が行われますが、通常はこの点での荷重は問題ありません。

中央支柱の基礎 ©SCHADE

結論

ハローを装備するブリッジ型リクレイマーは、継続するプロセスでの物資の均質性が必要となるストックパイルでは、重要で欠かす事ができない設備です。アクティブハローは流動性の無い物資であってもブリッジ型リクレイマーによる回収を可能とし、顧客がプロセスに契約上要求する二つの側面が充足される事となります:つまり、物資の取り扱い能力及び均質化のレベルです。SCHADE Lagertechnik GmbH 社は近年多くの従来型ハローをアクティブハローに改修しており、多くの場合他の製造者による機器となっております。これらの改修案件の多くの場合では、能力の増強も実現しております。セールス段階から製品コミッショニングに及ぶ顧客へのサポートを提供しながら、SCHADEはこの技術の市場での先導的な位置を堅持しております。

稼働中のSCHADEアクティブハロー:改修の例

SCHADEのアクティブハローへ改修する事により、プラントのオペレーターは本来の設計能力に到達するまで設備をアップグレードさせる事ができます。オペレーターが十分な満足を得たSCHADEによる2つの案件例をご紹介します。

1. 石灰石用ブリッジ型リクレイマーを装備した円形貯蔵の改修 – Tula ロシア

他の製造者による円形貯蔵に統合されていたブリッジ型リクレイマーが契約能力に未達でした。これは、高い水分量、相対的に小さな粒サイズ、及び-30℃から+30℃に及ぶ非常に幅のある気温変動といったバルク物資特性での過酷な条件が原因でした。低温環境が物資内の高い水分量と組み合う場合、物資の凝縮化を発生させ、また高温環境は物資の粘性が問題となります。

当初装備されていたハローではこの問題を克服する事が無く、ストックパイルから物資を分離させる事ができず、機器能力が不十分でした。また凍結、硬化した強固な又は粘性のあるバルク物資によりハローに変形が発生しておりました。

SCHADEは5つの統合型スクレイパーを装備する新たなアクティブハローへハローを完全に再設計しました。ハローには、ねじれの発生を最小限に留める強固な補強構造が施されております。

石灰石用ブリッジ型リクレイマーを装備した円形貯蔵の改修 – Tula ロシア ©SCHADE

2. 石灰石用ブリッジ型リクレイマーを装備した円形貯蔵の改修
– Cemindo Gemilang インドネシア

ここでも他の製造者により円形貯蔵に装備されていたブリッジ型リクレイマーが契約能力に未達でした。原因は石灰石及び赤粘土の混合物資に極めて高い含水量があり、物資の高い粘性を発生させていた事でした。長時間ストックパイルに物資が残留する場合、物資の硬化の問題も発生させていました。

SCHADEは当初装備されていた従来型ハローをアクティブハローへ再設計し、45mに及ぶ幅及び装置重量を考慮した区画化による設計方法が採用されました。当初のハローの重量は100トンでしたが、アクティブハローの重量は約240トンに及びます。ハローはブリッジ構造部の片側のみに配置されていたため、カウンターウエイトを採用する事となりました。この案件で特に困難であったのは、U型フレームにより設計されていた既設のブリッジ構造をそのまま維持させる事でした。ハロー及びカウンターウエイト分の重量の増加により、アクティブハロー及びブリッジ構造部の位置を調整する事が必要となり、ブリッジ構造部を合計約60トンの追加の補強構造により強化する事が必要となりました。

石灰石用ブリッジ型リクレイマーを装備した円形貯蔵の改修 – Cemindo Gemilang インドネシア ©SCHADE

Copy right (C) JAPAN MARITIME INDUSTRIES CO., LTD. ALL rights reserved