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AUMUND NEWS 9//2021 - Products. Projects. Progress

AUMUND FÖRDERTECHNIK

20年間の改修実績 - 継続するAUMUNDのサクセスストーリー

AUMUNDパンコンベアのレール改修 ©AUMUND

既設の機器の改修を検討する事は、技術的な理由及び操業上の費用効果を検討する上で非常に重要です。過去20年の間にAUMUNDグループが、主に自社以外の製造者により製作された世界中の機器に対し、約2,100台の改修を実施した事実にその証明を見出せます。AUMUND Fördertechnik GmbH社の搬送スペシャリストは主にベルト又はチェーンバケットエレベータ―、又はパンコンベアに焦点を当てております。長年の経験から、AUMUNDの改修ビジネスは各々意義のある5つの段階を経て順調に開発が進みました。最初のステップは、過去に納入した自社機器の新鋭化作業であり、2001年に行われる事になりました。最新の5段階目は、AUMUND コンピテンスセンターの改修部門により開発され、国際的に活動しているグループ内の各社の改修ノウハウを集約したものとなっております。AUMUNDは各改修案件を、3つの改修レベル:I、II又はIIIのうちの一つとして分類しております

ヒストリー、及び現在の開発

ステージ1

20年前、AUMUND Fördertechnik GmbH社の経営権を持つ株主であるFranz-W. AUMUNDはシンプルでありながら鮮やかなアイデアを持っておりました:何十年も運転を続け、現行の技術水準で運転する事ができなくなったバケットエレベーターに対し、スペアパーツの替わりに最新の開発技術水準まで新鋭化し、最新の部品を使って改修する、という内容でした。アドバンテージは明らかです:旧型のチェーン製品を在庫する必要が無くなり、スペアパーツの製品ポートフォリオを市場で最新のパーツのみに合理化できる事でした。顧客側では自社プラントの技術的新鋭化による利益を享受でき、付加価値をもたらす事になります。AUMUND Fördertechnik社の改修部門は、同部門が設置された2001年に25の改修案件を実行しました。

3レベル戦略は、案件を定義する接点により定義

全ての改修案件に関する基礎的な検討は、既設、再利用及び新規の部材の間の組み合わせに関するものとなります。これらの組み合わせに関する条件は、AUMUNDが決定する改修レベルの基礎となります。Level Iはチェーン又はベルトなどの主要コンポーネントの単純な交換です。このタイプの改修はオリジナルの機器を特定できる事、AUMUND機器に構造が十分に類似している事、又は基礎的な搬送原理がAUMUNDの原理に対応している事、などが実行可能な条件となります。

AUMUNDの改修レベル

Level I: チェーン又はベルトなどの主要コンポーネントの交換。部材の構造及び機能的な原理が特定でき、AUMUND社の技術と十分に類似している場合にのみ実行可能

Level II : 機器の内部は全て交換され、外殻のみを再利用する場合。適切な場合、又は能力の増強が必要な場合、構造及び機能的な原理にAUMUND技術を採用しなければならない

Level III : 外殻部及び外部構造部のみを再利用する場合。中心間距離のような形状内容の修正が伴う場合

仮にLevel Iの場合が適さない場合、Level IIに基づいた改修を行う事が必要となり、オリジナル機器の外殻部のみが再利用され、内部は完全に交換されるものとなります。このタイプの改修では、能力の増強及び/又は動力効率の改善につながる可能性があります。

機器が改修により本質的に変更される場合、適用される安全対策の範囲が重要な要素となります。新たな危険源又はリスクが存在する事となり、単純な防止策のみでは消滅又は十分に最低化できない場合、変化が本質的なものであるとみなされます。この場合、新設機器の場合と同等の範囲での改修に関するリスク分析を行う事が必要となります。変化が本質的でない場合、改修がオリジナル機器での安全性に影響を与えない、と仮定する事ができます。

ケーススタディ:バケットエレベーターの改修 Level I

問題:顧客よりAUMUND以外のメーカーにより製造されたベルトバケットエレベーターのベルトが破断したとの連絡がありました。バケットエレベーターが使用不能となったため、顧客はセメントプラント内の生産ライン全てを停止させる事を余儀なくされました。生産の損失を最低限にするため、新規のベルトが大至急納入される事が必要となりました。

オリジナル機器:バケットエレベーターは約25年古く、もはや存在していない会社により製造されていました。時間当たり最大50トンの能力で原料ミール搬送用として使用され、温度範囲は約80から100℃、搬送高さは25mとなっておりました。

納入範囲:耐熱型バケットエレベーターベルト、クランピングコネクション、ラバーストリップ、バケット固定用部材及びフリクションライニング

AUMUND以外により製造されたベルトバケットエレベーターのフリクションライニングを交換するのは、しばしば非常に難しい作業となります。フリクションライニングが交換できない場合、例えば寸法に互換性が無い場合、新しいドライブドラムを提供する事が必要となり、工程が複雑となりより費用が高価となります。この問題に関しては、既設のドライブドラムの外殻を再利用して、その上に新しいフリクションライニングを加硫する事ができました。これらの部材が再利用できれば、より複雑な工程を回避し、貴重な時間を節約する事ができます。その他のアドバンテージとして、修復した部品ではインターフェース部分での寸法上のリスクを伴う事無く使用できるという事です。バケット、鋼製構造部、ドライブ、ドライブドラム及びテンションドラムが再使用される事となりました。

ベルト生産:自社のベルト倉庫を保有し、また自社のいくつかの拠点でベルト生産を行う事により、AUMUNDは緊急の事態に即座に対応する事ができます。ベルトの生産拠点には、標準のAUMUNDのホールパターンのテンプレート、また外部メーカーの製造機器の改修で頻繁に必要となるテンプレートを常備しております。この事例では、必要となったホールパターンのテンプレートが無く、下請けによるパンチング作業を行う事が必要となりました。ベルトのホール部はバケットが再装着できるように、既設のバケットの配置に常に対応させる事が必要となります。AUMUNDのエンジニアはこの作業のために毎回ベルト図面を作成する事になります。

納入:AUMUNDは14日以内にベルトを提供できる唯一のサプライヤーであったため、発注を受ける事となりました。この事例の場合、納入期間を決定する主な要因は他社でベルトパンチングを行う事でした。これにも関わらず、受注からベルトの納入に掛かった実際の期間は9日間でした。AUMUND Group Field Service GmbH社のスーパーバイザーが24時間体制で交代で改修作業を実施し、わずか5日間でバケットエレベーターを復旧する事ができました。

ステージ2

AUMUND機器の技術的新鋭化、主にLevel Iの改修に焦点を絞ったステージ1を経過すると、ステージ2では元々他社により製造された機器に関する改修案件が増加し、Level IIの改修として実施される事が多くなりました。

2005年から2009年の間では、年間の平均改修案件数がほぼ2倍となりました。需要が増加した事により、AUMUNDが提供する改修サービスに対する関心が高まった事を招いたのです。AUMUND アフターサービス部門が提供するスペアパーツ又は消耗部材の新鋭化以外にも、必要動力の効率化といった項目が第三の基準となり、改修実施決定に関する主要な要因となりました。

改修実施の理由

- 技術的新鋭化
- 能力の増強
- 稼働費用の節減
- 製造メーカーが存在しなくなった事(スペアパーツが入手できない事)
- スペアパーツの代替サプライヤーの検索
- 機器形状の変更が必要となった事

搬送原理を変更する事、すなわちスクーピング型バケットエレベーターからバケットへ直接投入を行うAUMUNDバケットエレベーターに変更する事は、機器の長期的な消費動力効率を改善する事ができ、これにより稼働費用の節減につながります。改修が有利となるその他の要因として、企業は改修への投資をしばしば運転費用とみなしており、資産とみなされる機器本体の調達の場合と比較して、より容易に承認され実施可能であるといった事実にあります。この事は経済的な革新がなされる時、例えば現在のコロナパンデミックの影響を受ける時、にその効果が高まる事となります。設備投資への予算が少ない場合、一般管理費でカバーできる改修が最新の標準となり、新規の設備に対する魅力的な代替策となります。

その他改修の理由となる例として、原製造メーカーが操業を止めスペアパーツの入手が困難となった場合、顧客側でスペアパーツの代替サプライヤーを検索する事由が生じた場合、又は能力の増強、技術の新鋭化の必要性が生じた場合、などが挙げられます。また改修では、動力効率の改善及び持久可能性といった観点から、既設部材が再利用される事もアドバンテージとなります。新規の設備導入と比較して、機器の改修は全体的な二酸化炭素排出量を削減する事に貢献するものといえます。

ステージ3

他の製造者の機器の改修を単純化するため、及び顧客での費用負担を可能な限り低く抑えるため、AUMUNDは最も頻繁に行われるAUMUND以外の機器に対するLevel Iの改修に関する規格をまとめた、開発ステージ3を2010年に導入しました。標準化されたパーツと共に(図1及び2参照)既設パーツの計測を単純化できる計測ツールが導入されました(図3参照)。これらの対応の結果、2011年以降では毎年の改修件数が100以上に増加する事となりました。このステージでの技術革新は、更に各年平均で約50%の改修件数の増加をもたらす事となりました。

図1,2及び3:計測ツールの使用 ©AUMUND

ステージ4

プロセスを最適化し国際的に標準化させるため、2016年に4番目の開発ステージが開始され、より広範囲の機器に対する規格化された改修の提供を目的として、標準化の拡大及び改善が図られました。ベルト及びチェーン式バケットエレベーターが改修機器の大部分を占めていましたが、パンコンベア、ドラッグチェーンコンベア、吐出用機器など、AUMUNDのポートフォリオ全体を範囲とする機器の改修も長年に渡って行われておりました。今日ではAUMUNDの改修プログラムはAUMUND製品の全ての範囲をカバーし、また他の製造者により製作された多くの機器を範囲としております。このステージでは、毎年行われた改修件数は再び50%以上増加しております。2017年では1カレンダー年の間に199件と、現在までで最も多くの改修が実行されております。但し2020年でも件数は大きく減少しておりません。2021年の今年は、年間改修件数200以上をターゲットとして設定しております。

ステージ5

5番目の開発ステージ中、2020年にAUMUND Conversions CompetenceCentreが設置され、改修の開発に関するグローバル戦略を集中化、調整及びサポートする事となりました。同様の目的で、AUMUND Fördertechnik社はグローバルビジネス開発部門にスタッフを増強しております。Conversions CompetenceCentreは世界中のAUMUNDグループ全ての拠点の改修エキスパートを集めた定期的なオンライン会議を開催する事でグループ内での実績の共有を促進し、ネットワーク全体のサポートを実現しながら、新規又は既存の規格の更なる開発に取り組んでおります。この戦略ではデジタルPREMAS®️4.0システムの利用が重要な役割を果たしており、予防保守、検査員及び現場スタッフへのトレーニング、又は顧客に対するオンサイトでのアドバイスの提供、といった目的で活用されております。

AUMUND Conversions CompetenceCentreは安全性に焦点を絞った重要な項目も取り扱っており、改修活動の初期から高い優先性が置かれておりました。体系的な残余リスク解析を使用する事により、中心吐出型バケットエレベーターの改修、能力増強を伴う改修、又は中心間距離の延長といった安全に重大な影響を伴う改修であっても各改修案件での安全性が確保されております。

改修プロジェクトの全ての段階は、AUMUND Group Field Service GmbH社と連携しながら実施され、現在の趨勢により適した遠隔でのサービスも御提供する事ができます。機器の改修のみならず、中心間距離の修正による既設構造部及び隣接機器への接続に関する徹底した検討を同時に行う事が可能です。AUMUNDによる改修は、技術の新鋭化という付加価値をもたらすのみならず、プラント及びプロセスの安全性改善に貢献する事ができるものといえます。

世界中のAUMUND改修案件の写真

エプロンフィーダー ©AUMUND

チェーンバケットエレベーターヘッド ©AUMUND

チェーンバケットエレベーター ©AUMUND

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